南アジア随一の国土面積と世界2位(約13億人)の人口を誇る国、インド
大規模な国民を抱えるインドでは30以上の言語とヒンドゥー教をはじめとした多くの宗教が入り乱れています。
そんな「小宇宙」とも称されるインドという国は、押しも押されもせぬ「カレー発祥の国」として知られております。
《驚愕》インドにカレーという料理は存在しない?
「いきなり何を言っているんだ?」
「冗談も休み休み言え!!」
などと国会のごとき野次が聞こえてきそうですが、あながち間違いではないのです。
そもそも「カレー」という言葉はインドで生まれたものではありません。
インドの中のドラヴィダ語に野菜・肉・食事・おかずを意味する「カリ」という言葉があり、それを元にしたcurryという英語が英語圏で定着したと言われています。
インドの食事はスパイスをふんだんに使うのが当然であって、インド伝統医学アーユルヴェーダのスパイスの効能を活かした「病気は台所で治す(医食同源)」という理念のもと、広大な国土の多種多様な地域性や民族性に培われた、ひとことで言い表せないほど奥深いものなのです。
あらゆる料理に対してスパイスをふんだんに使うため、外国人からすると「インド人は毎日カレーを食べている」というイメージを持ってしまいがちですが、インドの人たちからすると、煮込み料理は、サーグ、サンバール、コルマ、ダールなどそれぞれの料理名があるようです。
東西南北に分かれた地域で違う、多種多様なスパイスと食文化
北インド
インドの国土は大まかに、東西南北の4つ(または北東インドを加えて5つ)の地域に分けられます。
首都ニューデリーのある北インドでは、小麦から作るナンやチャパティを主食とし、シナモンやクローブ、ナツメッグ、ガラムマサラを使ったどろっと濃厚なカレーが特徴的です。
その秘密は、スパイスのほかに牛乳や生クリームなどを使用しているから。
油分が多く、濃厚な味わいのカレーが主流となっています。
イスラムの影響により、肉料理の種類も豊富です。
「ムルグマッカーニ(バターチキンカレー)」や「キーママター(キーマカレー)」、「タンドリチキン」、「パラクパニール(ほうれん草とチーズのカレー)」などが代表的です。
南インド
一方南インドでは、こってり濃厚な味わいの北インドカレーに対して、ナンではなく米を主食とし、水分が多くシャバシャバとしたカレーが一般的です。
スパイスは、マスタードシード、レッドペッパー、カレーリーフを多く使用し、ココナッツミルクなどを加えることでさらっとしたカレーがよく食べられています。
南インド料理の中でも、「ミールス」は一食の価値あり!
ミールスとは、南インドでよく食べられている定食のことを指します。
写真のように米を中心に、パパドやカレー、その他の副菜が小鉢で添えられており、少しづつ混ぜながら食べるスタイル。
※これ!という決まった形がないのでお店によってメニューは異なります。
東インド
こちらも主食は米。
ガンジス川などの大きな河川が多いこともあり、魚を中心とした料理が多く、比較的日本に似た食文化が根付いている地域です。
スパイスにはマスタードやターメリックを多く使用した「マチェル・ジョル(ベンガルフィッシュカレー)」などが有名です。
西インド
最後に西インド
こちらは米とパンを主食としています。
かのマハトマ・ガンジーの出身地でもあるグジャラート州では、厳格な菜食を教義とするジャイナ教の教えのもと、菜食料理が広く根付いております。
中でも、グジャラート州の定食「グジャラティターリ」は名物となっております。
とはいえ、それ以外の地域ではこの限りではなく、牛肉や豚肉を使用した料理も食べられています。
ゴア地方の料理「ポークビンダルー」と言えば、カレー好きの方は「あ!あれね!」と思うかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
一口にインドカレー、インド料理といっても、地域によって使われる食材やスパイスはさまざまであることが見て取れるかと思います。
「今日はナンでカレーを食べたいから北インドカレーを出しているお店に行こう。」
など、インド料理屋さんに行くときの参考にしてみてください。
それでは。